建物の構造計算とは、建築基準法・同施行令その他の法令に基づき、外力(常時、地震時、風圧時、積雪時等)が建物に掛かった場合に、建物が安全でその外力に耐えうるように基礎・柱や梁・床・壁(耐力壁)などの部材の配置、必要量を選定し検定をおこなう計算です。
構造設計とは、この構造計算に基づきおこないますが、要は安全の枠内でいかに経済的な部材を選定するか、また建物の施工に際して問題点はないかなど、建物の構造に関して総合的に考える業務です。
マルタ設計の創業者(現役員、丸田操、伊藤一郎)両氏は、構造設計者(技術者)として、長年大学で「耐震工学」の教鞭をとり、(財)日本建築学会の役員等も務め日本の耐震工学の発展に寄与してきました。
マルタ設計の多くの実績は、国土交通省や東京都などから発注を受けた公共建築物です。業務遂行においては、資質を持った社内の有資格者の構造設計者が基本設計段階から計画設計(デザイン)者と協議を重ね、構造計画を一緒につくりあげる体制を続けてきました。
また、現在の構造設計の考え方は、お客様が建築基準法の基準を満たした上で、さらに建物(構造)のグレードを選択できる「性能設計」の考え方に移行しており、広義では「免震工法」などの採用も含まれます。
マルタ設計では、社員全員の職業倫理遵守の徹底と社内のチェック体制の強化を進め、建築(構造)設計の社会や建築主に対する良心と倫理観を堅持するとともに、次世代へ向けて良質な建築物を残すという基本的社会使命に応えていきたいと考えております。
マルタ設計は、耐震診断業務が社会に普及する前の1970年代前半より、公共建築物を中心に現在までに600棟以上の耐震診断、耐震補強設計業務をおこない、その実績と経験により建物の耐震性に関する技術力とノウハウを蓄えました。それらの裏づけにより、阪神・淡路大震災以降に急増した耐震診断業務では、多くの経験がない構造設計事務所や行政(地方自治体等)を指導し、指針や組織(有限責任中間法人構造調査コンサルティング協会)づくりの協力をおこないながら耐震診断業務の必要性を訴え普及に努め、業界の先駆者(オピニオンリーダー)的役割を果たしてきました。
2008年(平成20年)5月12日に起きた中国・四川大地震でも多くの施設が倒壊し、7万人に及ぶ人命が失われました。それを受けて、国も緊急の法改正を行い、学校施設の緊急点検を行うべく動き出しました。
マルタ設計も2008年(平成20年)7月1日に「耐震診断事業部」の設立をおこない、長年の実績と経験により建物の耐震性に関する技術力とノウハウを駆使し、多くの業務遂行により次世代へ向けてストック財としての良質な建築物を残すという基本的社会使命を再喚起していきたいと考えております。
建物の構造設計において、外力(地震力等)に対して耐えうる建物を設計することを「耐震設計」といい、その「耐震設計」をするための基準を「耐震基準」といいます。
建築基準法により、それぞれの構造毎(鉄筋コンクリート造、鉄骨造、木造等)にその「耐震基準」が示されています。現在の耐震基準は、「新耐震設計基準」と呼ばれているもので、1978年(昭和53年)の宮城県沖地震後耐震設計法が抜本的に見直され、1981年(昭和56年)に大改正されたものです。
この、新耐震設計基準による建物は、阪神大震災においても被害が少なかったとされており、その耐震基準が概ね妥当であると考えられています。この「新耐震設計基準」が制定された1981年(昭和56年)を境に、「1981年以前の耐震基準の建物」や「1981年以降の新耐震基準による建物」などの表現がされるようになりました。
建物が地震に対してどの程度被害を受けにくいかといった地震に対する強さ、すなわち「耐震性」の度合を調べるのが「耐震診断」であり、阪神・淡路大震災の教訓をもとに1995年(平成7年)12月25日に「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促進法)」(2005年改正)が施行されました。この中では現在の新耐震基準を満たさない建築物について積極的に「耐震診断」や「耐震補強設計(改修)」を進めることとされています。