先日、建築家の伊藤豊雄氏の展覧会の開催を雑誌で知り、行ってみました。
その展覧会で気になったのが、
今まで手掛けた図面や資料を海外の研究施設に寄贈する前に行う
“展示”であるということでした。
大学のキャンパス内で開催された展覧会、
内容は設計事務所を立ち上げてから
15年間のプロジェクトに関するもので、
設計プロセスを示した当時のスケッチの展示や
現場監理で使った青図製本には手書きのチェック跡のある
リアルな資料もありました。
学生や若い方に建築について伝えたかったという気持ちが
良く伝わり感慨深い展示内容でした。
そうした展示の中で、
設計事務所としてまた各所員の方の
建築に対する以降の取り組みに影響があったであろう
Dom-ino計画というローコスト住宅の研究について初めて知りました。
1年間かけて材料研究やプラン検討・施工計画を行い
コストを抑えた住宅を計画し、
女性雑誌に掲載して募集をするというもの。
これからの住宅のあり方を考えて議論して作り上げていった
プロセスを記録した手書きの資料もあり、
手にとって拝読しました。
(妹島和代氏の手書きの議事録もありました!)
…こうした貴重な建築の資料が海外の施設で保管される、
ということは建築関連の資料の保管・継承・活用を目的とし、
安心して寄贈できる施設が海外と比べて
日本はまだ充実していないのかしら・・と思わずにはいられませんでした。
河野弥生